ポートセルミの箱

ウイスキーのテイスティングをつらつらと。整理整頓中。

イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル 秩父×下田 海中熟成 ※飲み比べ

ボトル情報:

イチローズのホワイトラベルを静岡県下田の海中で熟成させたもの。

左:半年間、右:一年間

 

半年熟成ボトル

香り:なめらかなグレーンの甘さ。ミント。白粉、シロップ。

味わい:ミントジュレとシロップ。グレーンのなめらかな甘さ。少しだけの白粉。軽やかな樽香。

 

一年熟成ボトル

香り:籠った印象。グレーンの甘み、シロップ、ミントジュレ。燻った木材。

味わい:めっとりとした甘さ、シロップ。ミント。白木。籠った蔵のような香り。

 

 

雑感:半年間海に抱かれると違いが現れてくるもので。

以前、竹鶴の海底熟成を味わった時に学んだことですが、

アルコールを瓶詰した後にあるのは、物理的な変化と科学的な変化のふたつ。

 

物理的な変化とは、振動等による水分子とアルコール分子の細分化。酒質がまろやかになる変化。

科学的な変化とは、内包するアルコール類や有機酸類が組み合わさること。こちらは、ワインや泡盛にはあるがウイスキーには起きないといわれている変化。

 

海中熟成は、物理的な変化を促すものと推察されます。

 

 

その上で、

自分にも違いが分かることが愉しく感じられました。

 

参考にノーマルのホワイトラベルも頂きました。

 

どのグラスも違いは確かにあって、経年するほどまろやかに感じられます。

ですが、それで美味しくなったかというと、また難しい。

 

まろやかさの違いが美味しさの違いに直結しているかわけでもないのです。

 

飲み応えがあるのは、経年を経た側。

ですが探っているうちに、ノーマルのバランスの良さに気付かされたり。

でもやっぱり、1年熟成に良さがあると感じられたり。

 

 

考えるでもなくふらふらと愉しい時間を過ごさせて頂きました。

 

情報を飲んでいるといわれたらそれまでですが、

情報を愉しめる体験でした。

 

 

 

 

(よろしければ)

 

 

 

 

 

マックギボンズ ゴルフバック赤 陶器ボトル

ラベル情報:

McGIBBON'S

PREMIUM RESERVE BLENDED SCOTCH WHISKY

原材料/モルト、グレーン

43%

 

香り:クローブ、ミント、蜜蝋、爽やかな甘さ。ミルキー。芝生。豆殻。白木の印象。

味わい:まろやかなモルトの甘み。植物のえぐみ、栗の渋皮。ケミカルな甘み、シロップ。林檎のコンポート。クローブ、ミント、蜜蝋。微かな煙草とヒネ香。メンソールも。

好み:★7 71

 

 

雑感:各種ゴルフに関連した陶器ボトルで有名なマックギボンズ

バックストーリーや中身のヒントを知りたくて検索しても、上記の一文以外出てこない不思議なブランド。

 

ただ自分が無知なだけで、著名なブランドの可能性も大です。

なにせ自分は、ダンヒルの存在を知ったのがウイスキーからという人間ですので…

 

 

 

そんな(自分にとって)情報皆無な今回のボトル、中身は当たりなボトルでした。

嗜好品としての満足感は難しいところですが。

 

いえ。と言うのも、ウイスキーの愉しみって好奇心によるところも大切だと自分は考えていて。

拙くも背景を考えてみたり色々比べてみたりするのも愉しみのひとつだと。

ネームバリューに対する期待ももちろんそうです。

 

その点において、このボトルには足りるものがなく。

自分の無知故とは理解していても、、それも正直な気持ちです。

 

 

なんだか否定的な雰囲気を挟んでしまいました。m(_ _)m

ですがはじめに言った通り、中身は素直に美味しいブレンデッドウイスキーです。※好みの★は中身のみを対象としています。

 

極端な話、現行のブレンデッドウイスキーを購入するなら、こちらを購入した方が良いんじゃないかと感じるくらい。

発売年代の違いは分かりませんが、ドライバーヘッドのものは1,000円から入札できるみたいですし

チャレンジする価値はあるように思います。

 

濃ゆいウイスキーラバーを満足させられるかは分かりませんが、

手元に置いて不満のないボトルです。

 

 

 

 

他の飲み方も少し。

ハイボールでは、樹液っぽさとスパイス。パフュームのようにも。

水割りにすると、べっこう飴! なめらかに甘く、仄かな木材香。

 ※どちらも1:2くらいの濃いめ。薄くするとどこまでも薄くなります。

 

うん。手元に来てくれて良かったです。

 

 

 

 

 

イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2012

ラベル情報:

Ichiro's Malt 秩父

THE PEATED

Distilled 2009

Bottled 2012

50.5%

 

香り:ピーティ。麦芽を噛んだよう。バナナ、ナッティ。薬草。蜂蜜。ミントを浮かべて。

味わい:緩やかなスモーキー。炒った豆殻、どんぐり。ヨード香。白胡椒。燻した薬草、樽香がねっとりと。

好み:★7 72 

 

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

スモークベーコンや焚火を思わせるようなスモーキーさに加え、スイートで熟成感がある複雑な味わいでございます。

 

※裏ラベルより

 

反芻:“スイート” は、ピート由来のものより樽由来ものが大きいのでしょうか。そう考えると、“熟成感” の指しているものが理解できると感じました。正直自分は、“熟成感” は感じ取れなかったので。

ちなみに、自分の感じた どんぐり は、原酒のナッティさとピートの土っぽさが合わさったものと推察します。

 

 

雑感:今に続くザ・ピーテッドの初代ボトル。

自分は秩父のザ・ピーテッドに、厚みのあるピートと樽感をイメージします。

その視点からすると、このボトルは拍子抜けした印象。平坦というのか

 

ですがこれは、時代を逆に追ったからだと思います。

自分の頭にあるのは、近年のザ・ピーテッド。

このボトルから10年近くの経験の違いがあるわけで

 

奇しくも、一年一年を積み重ねて来られたのだと感じさせられました。

 

良い経験をありがとうございました。

 

 

 

 

(この10年後、22年度のザ・ピーテッド。よろしければ)

 

 

 

 

 

トバモリー 11年 2008 ヴィジュアルフレーバー:エンジンオイル

ラベル情報:

Tobermory

Aged 11 years

Distilled in 2008

Bottled in 2019

Matured in Sherry Hogshead

Cask # 900043

69.2%

VISUAL FLAVOUR

Morrison and MacKEY

 

香り:ソルティ。オレンジの皮の塩漬け。金属片、オイル。駄菓子の梅ジャム。砂糖の印象。

味わい:初めは大人しく、途中から大きく拡がる。燻したオレンジ。塩味。スパイスのピリピリとした刺激。メタリック、機械油。乾いた煙。その後からケミカルな甘みが漂ってくる。微かに梅や桃の種が感じられる。

好み:★7 73

 

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

ラベルに描かれたように、このカスクの味わいを象徴するのは「エンジンオイル」です。

色はシャイニングイエロー。グラスに注ぐと、メタルやワックスがドライフルーツ、アプリコットの甘い香りとともに立ち上がります。口に含むと、イメージする通りのエンジンオイルのようなメタリックでオイリーな味わいが広がり、続いてシロップ漬けのリンゴが優しく寄り添います。フィニッシュにはシェリー樽由来のダークチョコレートとタンニンの余韻が続きます。

11年熟成による甘みがしっかりあり、非常にユニークなエンジンオイルのフレーバーとバランス良く調和しています。島酒のトバモリーならではの雄々しい味わいを是非お楽しみください。

香り:メタル、ワックス、ドライフルーツ、蜂蜜、アプリコット

味:エンジンオイル、シロップ漬けのリンゴ、ペッパー、ダークチョコレート、タンニン

 

※通販サイトより 

 

反芻:雰囲気は合っていると思います。“エンジンオイル” はもちろん、甘酸っぱいフルーツやシロップのケミカルな甘さの感じも挙げられていて。

合格点ではないでしょうか。

 

 

雑感:ラベルに惹かれて購入しました。

先に記事を上げたモルトヤマの スピリットオブマル の記憶が新しい頃、

デパートのリカーコーナーで見かけまして。

 

反射的に 飲み比べしたい!とボトルを手に取っていました。

 

その時は気付いていなかったのですが、

ラベルだけではなく、スペックも極めて似ている2本でした。

同じトバモリー。同じ2008年蒸留、11年熟成。度数も共に60%後半。(ちなみに、ボトリングはこちらは2019年、スピリットオブマルは2020年)

 

 

この被り方は、レダイグ阿波踊りとアレスを思い出されます。

(奇しくも、あちらもトバモリー蒸留所ですねw)

 

 

 

比べる愉しみ。

 

実際比べてみて、中身もとても良く似ている2本です。

オイルよう、金属片。スパイスの傾向。梅ジャムのケミカルな甘酸っぱさ。

 

無理くり違いを探すなら、

ヴィジュアルフレーバーの方には乾いたスモーキー。

スピリットオブマルの方が生っぽく感じる印象。

 

 

面白いです。

 

もっと違いがあったら、より面白かったとは思います。

結果からすると、同じスペックだと同じ味わいになるという至極当り前の結果ですから。

でもそれは無いものねだり。試したから知れることでしょう。

 

 

 

 

最後に余談。

ヴィジュアルフレーバーシリーズといえば、思い出されるのがグレンロッシーの『ブルーチーズ』です。

強く興味を惹かれたのですが、現在まで出逢うことが出来ていません。

 

どこかのバックバーで待ってくれていることを願うばかりです。

 

 

 

 

 

ポートエレン 21年 1979 GM カスクストレングス

ラベル情報:

PORT ELLEN

DISTILLED 11/12/79

BOTTLED October 2000

CASK Nos. 7244, 7247

60.7%

CASK strength

GORDON & MACPAHIL

 

香り:腰がある、葡萄と潮風。スモーキーなブランデーのよう。焦げた草むら。薬草香。

味わい:葡萄の搾りカス、塩っぱい。樽の渋み。甘くフルーティなピート、マンゴスチン、マスカット、繊維質も。薬品香。心地よい渋み。

好み:★8 83

 

 

雑感:旧?ポートエレンを飲めることに感謝。

ポートエレンらしいソルティさと、アイラモルトに求めたくなるフルーティなピート。

フレッシュとも取れる爽やかさもあって。

 

とても良いボトルだと思いました。

 

 

 

ポートエレンといえば、

バー・ローズバンクの店主中村さんのTwitterを見て驚きました。

建物を建てる前にポットスチルを設置するのですね。

 

こちらです。この時しか観れない景色。

 

 

考えてみると、建物内の運搬に苦労するのは理解できます。

でも、稼働前に錆びを取る手間が増えそうな気もするのですが…。天井貼り作業の足場を組むにもジャマになりそうですし。

 

この手順が通常なのか、そうでないならどうしてこうなったのか、気になります。

 

 

 

ポットスチルの入れ替え作業の様子、白州蒸留所とかで動画公開してくれませんかね。

単純に興味あります。

 

 

 

 

 

トバモリー 11年 2008 スピリットオブマル カームバー モルトヤマ

ラベル情報:

TOBERMORY

AGED 11 YEARS

2008

ボトリング年:2020 ※モルトヤマHPより

MATURED IN A HOGSHEAD

66.6%

The spirit of mull

Maltyama

CAAMM bar

 

香り:注ぎたてから大きく拡がる梅ジャム梅ジャムの香り。糊っぽさ、小麦粉。白胡椒やクローブのオーキーなスパイス。潮気。まったりとした麦芽の甘み。機械油。オレンジゼスト。バニラ。消毒液のヒント。

味わい:オイリーな舌触り、機械油、その苦み。ケミカルな甘み。金属片。硬い豆殻。スパイシー。そこから梅ジャムがじわりと現れる。グレープフルーツの白皮、桃の皮、木片。弱いフルーティさを伴いながら、金属片が咥内をぴりぴりと刺激する余韻。

好み:★7 73

 

 

【オフィシャルのテイスティングノート】

このトバモリーは、テイスティングノートの通り強烈で突き抜けた個性を放つ1本で、メタリックやオイリーといったテイスティングノートで見かける特徴的な要素を存分にお楽しみいただけます。

香り:メタリック、ギヤオイル、昆布のような海藻、カレーパウダー、風邪薬、リンゴ、青いパパイヤ、梅ジャム、ほうじ茶、くぐもったピートのニュアンス、天ぷら油。

味:ミディアムからフルボディ、メタリック、シロップ、オイリー、梅こぶ茶、ほうじ茶。複雑で甘さが強く、強烈な個性をもった1本だがまとまりがある。メタリックさと梅こぶ茶のフィニッシュがじんわりと続く。

 

 

反芻:梅ジャム” あるよね! と嬉しくなりましたw “メタリック” や “ギアオイル” “オイリー” もその通り と。これはラベルの絵柄に引っ張られたものではなく、ブラインドでも挙げられそうな特徴だと思います。

“ほうじ茶” が気になったのですが、今日の自分には拾うことが出来ず。時間をおいてチャレンジします。

 

 

雑感:マツダRX-7(FD3S)のロータリーエンジンがモデルのラベル。

猫の名前はマルくん。

カームバー 田淵オーナーの愛車であり愛猫だそうです。

 

良いですね。PBの良さがあるデザインと思います。

味わいとも合致していますし。

100点満点ではないでしょうか。

 

 

 

中身もとても面白いボトルです。

興味深いとも。

 

どうして飲み物から機械油の味がして、そしてそれを美味しいと思えるのか。

不思議です。

 

好き嫌いは大きく分かれそうですが、このモルトを愉しいと思える自分で良かったと感じます。

もっと開いてきたら、と期待したくなる向きもあり。

 

購入して良かったです。

 

 

 

 

ところで、

機械油と梅ジャム紙一重の場所にあると感じているのは、自分だけでしょうか?

トロピカルフルーツと紙のニュアンスがそうであるように。

 

機械油の膜と刺激のその下から、梅ジャムが顔を見せているように思えて。

 

 

他の方の意見も聞いてみたいところですが

 

 

 

 

 

 

 

タリスカー 21年 1998 ウイスキーフープ メインモルト 曽根物産70th

ラベル情報:

TALISKER

AGED 21 YEARS

DISTILLED YEAR: 1998

CASK TYPE: AMERICAN OAK

CASK NUMBER: 1100

54.9%

For Bar Main Malt and Sone Bussan's 70th Anniversary

 

香り:潮気、煙、バニラ。オレンジピール、ベリーの甘み。

味わい:腰がしっかりとしている。葡萄やベリーの甘み。潮風、消えかけの焚火。のど飴、薬草感。余韻には甘い渋み、仄かに烏龍茶。

好み:★8 87

 

 

【オフィシャルのテイスティングサークル】

 

 

反芻:どうでしょう? HOOPのサークルを読み取るのは苦手なので…。

全体的に綺麗な形をしているなかで、“vanilla” や “smokey” の値が低いことが気になりました。自分には感じられたのに…。もちろん、ゼロではない数値なのですが

 

 

 

雑感:これぞオフィシャルボトル!

18年や30年を飲んだときに求めた腰の強さがここにありました。

オフィシャルの品の良さを残したまま質を上げているのが感じられます。

そして、度数由来の腰の強さが満足感をもたらしてくれて。

 

とても素晴らしいボトルです。

 

 

このボトルと、オフィシャルスタンダードの長熟ボトルを飲み比べられたら幸せでしょうね。

お財布が悲鳴を上げることになりますが(笑)

 

 

 

 

ちなみに、HOOPのサイトではバー・メインモルトや曾根物産の表記がありません。

これは、オフィシャルボトルのPBは個人名しか記載できない規則に依るもの。

 

入荷後、シールを上から貼って整えているそうです。