ポートセルミの箱

ウイスキーのテイスティングをつらつらと。整理整頓中。

ボウモア 30年 1998 T&T TOYAMA ザ・ニンフ ホワイトミラー

ラベル情報:

Bowmore

Aged 30 years

1990

Hogshead

Cask No. 3970

55.3%

White Mirror

The Nymph

T&T TOYAMA

 

香り:甘い樽香、甘い灰、煤。ラズベリー。薬品香。メンソール。底の方に麦芽の甘みを感じる。

味わい:複雑味のあるピート。焦げた木、色気のある灰。しっとりとしている。スパイスとブラックベリー、カカオ、オレンジ。ピーティなモルトの甘み。濡れた煙。収斂味のひとつ手前の渋み。余韻にはスモーキーな甘みがとても豊かに。

フィニッシュにかけてくすぐられる咥内がたまらなく心地よい。

好み:★8 84

 

 

【オフィシャルのテイスティングノート】

香り:昆布のような海藻、穏やかなヨード、まとまりのある上品なピートスモーク、少し焦げた麦チョコのような香ばしいモルティさ、強く豊かなバニラ、熟したリンゴ、昆布茶、奥にオレンジオイル、パッションフルーツのヒント。

味わい:ややリッチでふくよかなボディ、こなれた香ばしいモルティさ、ベッコウ飴、非常に優しいヨードと灰を伴うピート、丸みを帯びたシロップの豊かな甘さ、りんご飴、熟したリンゴ、パションフルーツのヒント、昆布茶、強く豊かなバニラ、チリペッパー、少し焦げた麦チョコ。時間掛けるほど、甘さが増し、より複雑になる。後口は、豊かな甘さと穏やかなスパイシーさ、そして昆布茶と灰っぽいニュアンスが徐々にフェイドアウトする。

総評:90ヴィンテージ、30年熟成のアイラの女王。ボウモアを愛する飲み手の琴線に触れる1本。

 

 

反芻:方向は同じ、と受け取るには甘すぎますね。色々感じられたけど言葉として浮かんで来ない というのが今の自分の感覚でしたので、オフィシャルのコメントを読みながら飲み返してみたいものです。

 

 

雑感:石鹸いないんですね、90年ビンテージのボウモア

手元にある 92年ビンテージのマキロップチョイスには花のような石鹸が確かにいるのですが…

不思議です。

 

ソーピーやパフューミーとなる原因が原酒にあるとするなら、

90年より後の 92年ボトルにその影響が残っているのは違和感があります。

 

樽に以前蓄えていた原酒の影響が残っていたとかでしょうか…?

 

 

 

ボウモア、最近は購入する機会に恵まれません。

やはり美味しいモルトですし、久しぶりにスタンダードボトルに慰めてもらおうかな。

 

 

 

 

 

デュワーズ ホワイトラベル 赤紋章 特級 80年代前半流通?

ラベル情報:

White Label

Dewar's

FINE SCOTCH WHISKY

43%

John Dewar & Sons

ウイスキー特級

 

香り:炒った麦の香り。ブラウンシュガー。微かなヒネのニュアンス。カラメル。ブラックベリーの砂糖煮。奥の方にサイダーの爽やかさも。

落ち着いた麦の香り、甘みのなかに爽やかなヒントがある。

味わい:濃い麦の味わい。オーキー、胡椒。モルティな甘み、さくらんぼの種、枯草、甘みと酸味とえぐみと苦みが複雑に絡む。べたっとした食感、ミント、おそらくグレーンに由来するもの。最後に残るのは柔らかい甘みと苦み、粒あんの余韻と遠くの煙。

コクのある麦のお酒。植物を感じる苦味が舌に転がる大人な味わい。

好み:★7 73

 

 

雑感:キーモルトは、アバフェルディやクライゲラヒ。

自分に分かるところはありません。当日のものをそもそも知らないので

 

覚えておきたいところですが、鼻にせよ舌にせよ記憶の維持はむずかしいと最近実感しています。それでも努めねばです。。

 

 

オールドブレンデッドウイスキーに共通する甘酸っぱさは、やはり当時のシェリー樽に由来するものなのでしょうか。

 

慎ましくも上品に感じられて、

現行にありがちな圧殺系も悪くはないですが、やはり魅力が違います。

とても好きです。

 

 

 

 

 

グレントファース 11年 2009 T&T TOYAMA ザ・ニンフ:エルクヘアカディス

ラベル情報:

Glen Tauchers

Aged 11 years

2009

Sherry Hogshead European Oak

Cask No. 900355

64.6%

Elk Hair Caddis

The Nymph

T&T TOYAMA

 

香り:べっこう飴、シナモンのようなスパイス。焦げた麦芽のよう。アーモンド、シェリー樽の癖も感じる。ハッカが爽やかに。

味わい:シェリー樽熟成らしい甘み。べっこう飴、カカオ。コクがある。チョコレートを口に含んだ後の紅茶。葉巻。口の中が渇くようなフィニッシュ。

好み:★7 73

 

 

【オフィシャルのテイスティングノート】

香り:力強いアルコール、しっかりとしたシェリー、ヘーゼルナッツやアーモンドのようなナッツ類、ミルクチョコレート、プラム。

味わい:非常に力強くパンチのある飲み応え、スパイシーだが滑らか、コクのあるしっかりとしたシェリーと樽のニュアンス、プラム、ヘーゼルナッツやアーモンドのようなナッツ類、スパイスミックス、ミルクチョコレートの甘さ。

総評:ハイプルーフで非常に力強いが、嫌味のないコクが有るシェリーがとても魅力的な1本。飲めば飲むほど引き込まれる。 

 

 

反芻:印象はおおよそ合っているように感じました。違っているのは余韻でしょうか、自分の感じた収斂味に通じるようなニュアンスと、オフィシャルの “スパイスミックス” が共通しているのか気になります。

話はズレますが、“スパイスミックス” って良い表現ですね。

 

 

雑感:自分の知っているシェリー系トファース。

自分はトファースのシェリー樽熟成モルトに、わりと平いイメージを持っています。

圧殺系に近いというのか、近年シェリー樽にイメージするそれそのもの。

 

このボトルは、その傾向のまま品良く整えられた印象でした。

 

素直に美味しいですし、手を伸ばす価値のあるボトルだと思います。(上から目線)

 

 

 

 

以下余談。

自分の寡聞を棚に上げて言うのですが、

グレントファースのシェリー樽熟成はこの傾向が個性なのかな? というのが今回持った率直な感想でした。

 

他の蒸留所のボトルでも良いものを味わえそう。グレンゴインとか

 

 

熟成年数の違い等ありますが、信濃屋のアメリカンホグスヘッドが美味しかった印象も強く。

 

自分にとってのグレントファースは、シェリー樽熟成よりもそちらの方向に期待する蒸留所となりそうです。

 

 

 

 

 

カティサーク 12年 特級 70年代流通?

ラベル情報:

CUTTY12

CUTTY SARK'S 12 YEARS OLD

BLENDED SCOTS WHISKY

86 PROOF

BERRY BROs & RUDD

ウイスキー特級

 

香り:カラメルちっく、焦げた牧草。黒糖、オールドシェリー樽を思わせる甘酸っぱい香り。微かなヒネ香。ハッカ、蜜飴、籾殻。炒った麦芽の香り。甘い焦げ感も仄かに。

蜜っぽい。そして焦げた甘酸っぱさが矛盾せずに並んでいる。

味わい:カラメル、紙が焦げた香り。青林檎のようにフルーティ。ヒネの主張。蜜糖、落ち着いた樽感、ベリーパイの甘酸っぱさ。焦げた麦芽感。フィニッシュに向けて苦味、えぐみも確かにあって、加水のニュアンスが少し。ミント、爽やかな甘みを残す短い余韻。

樽が良い働きをしていると感じる。オールディなモルトのほろ苦さと甘みが心地よい。

好み:★7 71

 

 

雑感:オールドなブレンデッドボトルの愉しみ方のひとつに

当時のキーモルトの味わいを感じられることがあるそうです。

(例えばこのカティサークでは、当時のグレンロセスが伝わってくるとか)

 

正直、そういった視点はありませんでした。

自分には古のシングルモルトを経験する伝手などありませんから、オールドブレンデッドは貴重な導き手と捉えなければいけません。

 

同じウイスキーを味わっていても、そこを意識しているかで経験値に差が出そうですよね。

改めて各ボトルを飲みなおしてみたいと思います。

 

その前にまずは、ブレンデッド大全を読み直してキーモルトを頭にいれるところから始めるべきでしょうか。

 

 

 

…ちなみに、

手元にあった ザ・テイスターのロセスと比べてみたのですが、共通項は分かりませんでした(爆)

 

 

 

 

 

ストラスアイラ 9年 2011 T&T TOYAMA ワンダーオブスピリッツ

ラベル情報:

STRATHISLA

AGED 9 YEARS

DISTILLED IN 2011

BOTTLEDIN 2021

MATURED IN A HOGSHEAD

#1114

59.8%

WONDER of SPIRITS

T&T TOYAMA

 

香り:甘いシロップ、風邪薬。蜂蜜、カリン。

味わい:若草の風、乳酸菌。シロップとハーブ香。スパイシー。白い甘み。缶詰のオレンジ。樽香を感じる。余韻にはミントも。

好み:★7 70

 

 

【オフィシャルのテイスティングノート】

香り:ヤングエイジらしい力強さ、ヨーグルトキャンディ、ミルクキャラメル、ミント、青りんご、爽やかなオークのウッディさ、香りの表情が大きく変わる。

味わい:ミディアムかやや重めのボディで力強い、ヨーグルトキャンディ、若々しいモルティさ、水飴、青りんご、カスタードのヒント、アクセントとなるオークのウッディさ、微かなミント、チャイ。後味は砂糖の少な目のチャイのように爽やかで、ややドライ。

総評:ヤングエイジながらもストラスアイラらしいポテンシャルを秘め、飲むたびに表情の変化を見せる。ゆっくり時間をかけて変化を楽しみたい1本。

 

 

反芻:オフィシャルのコメントほど、複雑味は感じられませんでした。大きなところは違っていないと思うのですが…。

“砂糖の少な目のチャイ” は面白い表現ですよね。次回は意識して飲んでみたいです。

 

 

雑感:ストラスアイラの経験が欲しくなりました。

ストラスアイラ、自分にとってはホームランの飛距離も長く、かつ安定した打率の蒸留所のイメージです。

ですが改めて振り返ってみると、味わった経験が中長期の熟成に偏っていること気付かされました。

 

そんな自分にとっては初めてな短熟ストラスアイラ。

これもまた面白いものがありました。

酒質に触れられたような感じ。

 

 

ですが、オフシャルのコメントは複雑に富んでいるのですよね。

自分ももっと、穀物麦芽の甘みに感じるところをもっと掘り起こせるようになりたい。

 

オフィシャルのコメントに追われているところもあると思いますが、

そこを求めたくなった気持ちは本当です。

 

 

 

 

 

ジョニーウォーカー 黒ラベル 1980年代前半流通? ※状態ヒネ

ラベル情報:

Johnnie Walker

Black Label

BLENDED SCOTCH WHISKY

YEARS 12 OLD

86.8 PROOF

 

香り:ヒネてる。ヒネ香の中を探ると、葡萄や焦がした砂糖、焦げた木材の香りを下の方に感じる。加水のニュアンス。植物のえぐみ。牛乳。柔らかいピートも。

味わい:オブラートに包まれているよう。その中に、葡萄、カラメル。缶詰のパインも確かに。チェリーっぽい甘酸っぱさ。軽いピート香。酸味を感じる。

好み:★6 60

 

 

 

雑感:開封ひと嗅ぎめで おお… と。

どちゃヒネでした。

 

口に含むとカラメルを思わせる甘みは確かにあるのですが、

それもヒネでコーキングされているよう。

 

 

少し前に、ポリエチレン製のラップでヒネ香が取れると話題になっていましたね。

せっかくだし試してみようかな。

 

 

また、別の対策として

氷点下にさらすと良いという話も聞いたことがあります。

 

ただその話を聞いたのは、北海道は帯広。

自宅の冷蔵庫でもあちらの気温には届かないですが、こちらは素性の確かな情報ですし試す価値ありそうです。

 

 

 

良い方向に変化があったら追記したいと思います。

 

 

 

 

 

キルホーマン 7年 2013 ハリーズ高岡

ラベル情報:

KILChOMAN

DATE FILLED 29.8.2013

DATE BOTTLED 9.4.2021

BOURBON MATURED SINGLE CASK

CASK NUMBER 623/2013

PHENOL LEVEL 50PPM

57.1%

BOTTLED EXCLUSIVELY FOR HARRY'S TAKAOKA

 

香り:消毒液、甘い木の香り。シロップ、薬草、ミント。ヨード香。潮気も少し。薄くバニラ。どこかオイリーに感じる。

味わい:背筋を伸ばしてシャンとしている。乾いた煙、潮気、樽の甘み。ジンジャー、焚火の燃えカス。ハーブよう。葡萄、ミネラリー。蜜蝋がハッキリと。ミント。余韻は長く、煤を被ったフルーツを感じる。

余韻が本番とも。

好み:★7 75

 

(上の約半年後)

香り:軽やかなピート、バニラが豊かに。蜂蜜、オレンジシロップ。ハッカ。海苔、煙草のニュアンス。

味わい:甘いピート、海苔。潮気。バニラビーンズ、樽の甘みが心地よく。濾したオレンジ。モルティ。余韻には乾いたピート香、炒った豆殻の苦み。

優しく甘く、程よく苦い。美味しい。

好み:★7 78

 

 

 

【オフィシャルのテイスティングノート】

香り:ややドライな香り立ち。強いピートスモークと合わせてシトラスのようなシャープな柑橘感、薬品香のアクセント。奥には煙に燻された黄色系フルーツが潜んでいる。

味:香りに反して口当たりは粘性があり、燻した麦芽やナッツの香ばしさ、ほろ苦さに加え、熟したグレープフルーツやパイナップル等の黄色系の果実感が広がる。

余韻は強くスモーキーでピーティー麦芽の甘みと柑橘感、微かに根菜っぽさ。愛好家がアイラモルトの一つに求めるようなフルーティーさが湧き上がり、長く続く。

総評:グラスに数滴加水するとフルーティーさがさらに開く。粗削りではあるが、それ以上に良い部分が光る、将来有望な若手スポーツ選手に見るような未完成故の魅力を感じさせる。エース候補の現在地を確かめて欲しい。

 

香り:真っ白い灰、強く上品なピートスモーク、メンソール、パイナップル、アプリコット、熟れたバニラ、爽やかなグレープフルーツ、微かに木の燃えさしと炭。

味:強めの粘性を伴った丸みのあるテクスチャー、上品なピートスモーク、熟成年数以上に熟れた麦芽の甘さ、塩気、パイナップル、アプリコット、グレープフルーツのワタと全体を引き締めるピール、少しの炭と灰。後口は、グレープフルーツのピールのようなビターさが舌に残り、微かに上品なスモークソルトと灰が続く。

総評:短い熟成年数以上の仕上がりの良さと、キルホーマン蒸留所のアイラモルトとしてのポテンシャルの高さを体現する1本。

 

 

反芻:余韻の “愛好家がアイラモルトの一つに求めるようなフルーティーさ” は本当にその通り!と感じました。

逆に違いを感じたのは、香りのニュアンス。“グレープフルーツ” をはじめとする黄色いフルーツ系を自分が挙げられなかったのが気になります。一番上げやすい項目ですよね、グレープフルーツ。余韻には感じたのですが…

 

 

 

雑感:短熟だけど時間をかけて

経験数は少ないですが、キルホーマンのモルトには短熟故の良さだけではないプラスアルファがあると思っています。

このボトルもそんな1本。

 

自分の感じたものは、ドライなピーティ。煙だったり煤だったりミネラリーだったり

そして下から見えてくる余韻のフルーツ。

これがとても良い。

 

モルトの満足感は余韻にかかるところが大きいと感じさせられました。

 

 

ごちそうさまでした。

 

 

 

 

ふと。

キルホーマンも長熟の域になるとアイラピートがジューシーな南国フルーツに変化するのでしょうか?

とても気になります。