ポートセルミの箱

ウイスキーのテイスティングをつらつらと。整理整頓中。

マルスモルテージ ディスティラリーズオリジナル

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ラベル情報:

MARS MALTAGE Distillery's Original

BLENDED MALT WHISK

48%

マルス信州蒸留所限定

 

香り:瓜系、青いメロン、シロップ、新しい家具、木の香り。埃っぽさ。洋梨やミントの香りも浮かんでくる。

味わい:シロップと木香、草系の苦み。芝生、ほんのりと梅。青林檎やミント、薄くフルーツキャンディ。

好み:★6 63

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

マルスモルテージ ディスティラリーズオリジナル」は、穏やかな甘さを含んだ洋ナシのような爽やかな香り、滑らかな口当たりで心地よい落ち着きが木のぬくもり感じさせます。森に囲まれた蒸留所の雰囲気を想わせるマルス信州蒸留所限定のモルトウイスキーです。

 

※裏ラベルより

 

反芻:オフィシャルコメントの通りと感じます。

印象に残るのは木の香りと甘み、全体に漂う爽やかさ。

時間を置くとバニラの甘みも出てくるような気配があります。バーボン樽がメインなのかな。

普段飲みしつつ、長く愉しみたいと感じる1本です。

 

 

雑感:マルス信州蒸留所の将来が楽しみになるボトル。

浅葱斑と同じく、リニューアル後の信州蒸留所にて購入しました。

ラベルデザインがシンプルで可愛いですよね。

浅葱斑や信濃蒲公英に比べると特別感は感じないですが、これはこれで良いです。

 

 

ラベルと同じく、中身も飲みやすく親しみやすい良いボトルです。

 

そして長熟ものにも期待したくなるポテンシャルがあります。

木香に深みが出て苦みがこなれてくると、柿っぽさ等のジャパニーズウイスキーの魅力が溢れてくるのではと。

自分に買える値段になるかは別の話ですが。。。

 

 

今は手元にあるこのボトルを、マルス信州蒸留所のこれからを夢見つつ愉しみたいと思います。

 

 

 

 

レダイグ 22年 1997 アレス アクアヴィーテ

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ラベル情報:

LEDAIG

22年 ※サイト情報より

1997

HOGSHEAD

CASK#8072

52.3% alc

ARES

AQUA VITAE

 

香り:砂浜、煤、燻製肉、海辺のバーベキュー。赤い果実、濃い緑の木々。

味わい:海風と煙、ミーティ、蜂蜜。すりおろした林檎、黒胡椒。木材や畳。高音と低音の味わいが同時に流れてくる印象。混ざり合い余韻に金属、薬品らしさ。

好み:★7 76

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

香り:バーベキュー、スモーク、ペッパー、新鮮なリンゴ

味わい:大麦、塩味とスモーキー、炭、柑橘果実、ウッディ

余韻:軽めの潮気、歯ごたえを感じる、クラッシックなレダイグ

 

www.shinanoya-tokyo.jp

 

反芻:おおよそ合っているかな。特に “ウッディ” はやっぱり!と嬉しくなりました。時間を置くと、より強調されると思います。

潮と煙、そして木香がメインとなっているモルトです。流行りのフルーティさは薄いかな。僅かに感じる甘みが愉しいのですが。

“歯ごたえ”、言わんとすることは分かる気がします。自分のテイスティングコメントの中でどれが該当しているのかは分からないのですが。…金属のところかな。

 

 

雑感:度数50%程度のピーデッドモルトを色々試したいと思っていたところに運命の出会い。

前回の立夏はラベルに惚れて購入しましたが、こちらは中身のスペックに期待しての購入。

期待通りの味わいでした。

 

より考えていくとアイラ系モルトに比べると、フルーツ感がないのかな。硬いところがある(不躾な表現だと平ら)とも感じます。

これがアイランズモルトの特徴なのかどうか。

でも蒸留所の地域とピートの産地はイコールではないことも多いですよね。

この辺りを追求していくと面白そうです。

 

 

 

 

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レダイグ同士の飲み比べ

 

アレス: 22年 1997 52.3% ホグスヘッド

阿波踊り: 22年 1997 51.8% ホグスヘッド

奇しくもほぼ同じスペックのボトルになりました。

この飲み比べができる幸運に感謝です。

 

アレス: 金属や木材。比べると浮かんでくるバターのような甘み。

阿波踊りレモングラスやミント、微かにフルーツの渋み。

共通しているのは、高い音の煤、浜辺のイメージ。

 

アレスは開けたてですからその差は大きいと思います。

もうしばらく置いてからまた比べたらどうなるか。

愉しみがまた増えました。

 

 

 

最後にボトルシリーズからの雑談を。

こちら、シグネチャーシリーズ・ギリシャ神話シリーズの軍神アレスを冠したボトルになります。

この説明を読んだ時、アレス?マルスじゃないの?現地の発言に合わせて?? となり、調べてみました。

 

マルスローマ神話、アレスはギリシャ神話の神様。

同一視されている神様のようです。

 

自分はここら辺の知識が全く疎くて。

小中学生の頃に夢中になっておけばよかったかな。

 

 

昨今は様々ボトラーズやプライベートで、様々なテーマのシリーズボトルが展開されていますね。個性はあるし、バックバーでも見付けやすいのでありがたいと思っています。

まだ採用されてなくて思い浮かぶのは十二支でしょうか。(毎年サントリーから干支ボトルが販売されていますが)

 

自分としては、有馬記念のラベルボトルが欲しいと願っています。

サラブレッドの写真はいらなくて、馬名と馬番だけ載ってくれていれば良いです。

それを観ながら呑みながら、その年の想い出に浸りたい。

きっと愉しいと思うのです。

 

 

 

 

ラフロイグ? シークレットアイラ 11年 2008 アクアヴィーテ 二十四節気:立夏

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ラベル情報:

DISTILLED AT A SECRET ISLAY DISTILLERY

AGED 11 YEARS

DISTILLED 2008

BOTTLED 2019

MATURED IN SHERRY CASK

CASK#087612

49.8% alc

立夏 Start of Summer

AQUA VITAE

 

香り:海水と灰、枝付きレーズン、黒土。燻製されたベーコン。僅かに石鹸。

味わい:滑らか、するりと飲める。潮風、塩水に浸した洋梨、蜂蜜をかけのベーコン。焦げた木、煮干し、レモンピール、低い位置に樽香が据わっている。フレッシュなフルーツと潮気や煙が次々に表に出てくる、踊っているよう。

好み:★7 76

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

香り:トロピカルフルーツ、泥炭、スモーキー、くるみ

味わい:潮気と甘み、灰とスモーク、大地、大麦

余韻:ピート、スモーキー、ハーブ

 

 

反芻:ズレてる? 自分が飲んだものは開けたてだからでしょうか。

少なくとも現時点では、香りに “トロピカルフルーツ” は拾えません。味わい・余韻の “大麦” や “ハーブ” は分かるかな、といったところ。

これから変化して来るのかな。

 

オフィシャルのコメントだけ読むとあまり魅力的に感じないというのも正直な感想。

もちろん、キャッチーに盛り過ぎるコメントはブランドの信頼を下げてしまうので難しいところですね。

良い方向に開いてくれることを期待しています。

 

 

雑感:AQUA VITAE 新シリーズスタートの1本。

二十四節気から 立春春分立夏夏至立秋秋分立冬冬至 を冠する全8作。

その最初のボトルになります。

夏が始まるところがまた素敵ですよね。

 

このボトル、中身のスペックはもちろんなのですが、ラベルの蛙に一目惚れして購入を決意しました。

立夏に鳴き始める蛙。

お尻は桃、脚はアスパラガス。立夏が旬の作物です。

コンセプトもデザイン色遣いも魅力的ですよね。

台湾の新進気鋭のデザイナー Cinyee Chiu 氏の作品とのこと。

 

全8本という少数もあって、既に全部集めたくなっている自分がいます。。。

値段と中身と相談しつつですが、トータルで琴線に触れてくれたら良いなぁ

 

 

 

ちなみに、このシリーズの全モチーフは下のサイトから観ることが出来ます。

ネタバレ上等という方はどうぞ

 

シリーズ外のモチーフの方が魅力的なもの多そうw

 

 

 

 

 

グレンギリー 12年

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ラベル情報:

Glen GARIOCH

AGED 12 YEARS

a classic marriage of BOURBON & SHERRY CASKS.

Alc 48%

 

香り:クリーミー、バニラ、レーズンやカシスのシェリー樽香。フルーツジュース。クリームシチューが焦げたようなニュアンスも

味わい:カシスチョコレート、甘くフルーティ。タンニン、芝生、高い木香。薄めた紅茶。バニラが微かに。全体的に柔らかい印象。

好み:★6 65

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

TASTING NOTES: FRESH HEATHER, RICH POACHED PEARS AND THE SWEETEST OF MALTED BARLEY; CREME BRULEE, SWEET RIPE FRUITS AND JUST A HINT OF OAK GIVE THIS GLEN GARIOCH A LONG AND MEMORABLE FINISH.

(フレッシュなヒース、洋梨のコンポート、モルト由来のクリームブリュレや熟した果実感。ほんのりとしたオークの香りがグレンギリーに長く記憶に残るフィニッシュ)

 

※ラベルより

 

反芻:例によって翻訳に自信無しですが。飲みながらだと、なんとなく伝わってきます。自分のテイスティングも方向は合っているような…。クリームシチュー以外(確かに感じるのですが)。

バーボン樽とシェリー樽のバランスが良いのでしょうか、嫌なところがないフルーティなモルトだと思います。

 

 

雑感:旧ラベル 15年との飲み比べ

飲み比べると、旧ラベルにはクリーミーさを感じます。単独で飲んだ時には感じなかったのですが。(前後のボトルで印象変わるのは当然といえば当然ですが)

そして洋梨とシロップ、土っぽさが印象的。

 

現行品は、シェリー樽のフルーツ感が浮かんできます。甘酸っぱさが心地良く。

 

共通しているのは、どちらも優しいという印象。

尖ったところはなく、素朴で美味しいモルトです。

 

 

正直な話、付けた点数ほどの差はないなぁとも。

その人の好みの差で逆転する範囲と思います。

最近そればかりですが、テイスティングは難しいものですね。

(故に『評価』でなく『好み』と表記しているのですが)

 

 

 

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ボトルは現行品の方が好み。

 

 

 

 

グレンギリー 15年 旧ラベル 00年代流通?

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ラベル情報:

GLEN GARIOCH

AGED 15 YESRS

43%

 

香り:蜂蜜、若草、フローラル。木の皮、甘いシロップ、瞬間アルミ箔の印象。

味わい:滑らかな蜂蜜、高い樽香。若葉、モルトと微かな土の香り、洋梨のシロップ漬け。仄かな苦み。甘く柔らかく長く残る余韻。

好み:★7 73

 

【オフィシャルのテイスティングコメント】

Tasting Notes: Honey coloured with a medium body. Hints of lavender and oak with a syrup sweetness. The finish is lomg, mellow, and very sumptuous.

(蜂蜜色、ミディアムボディ。ラベンダーとオークの香り、シロップのような甘さ。フィニッシュは、まろやかで、とても贅沢な味わい。)

 

※裏ラベルより

 

反芻:ラベンダー! なるほどと感じました。知っている香りとは思っていたのですが、コメントを読んで直ぐに結びつきました。

全体の印象としては、ほぼ合っているかと。分かりやすく、そして美味しいです。

 

 

雑感:グレンギリー

読めませんよね。でもこう読むそうです。

 

グレンギリー蒸留所はハイランド最古の蒸留所に数えられ、かつては “アバディーン州の穀物庫” と呼ばれた大麦の一大生産地に存在しています。

豊かな土地で順風満帆な歴史を持つかと思えばそうではなく、水源に恵まれず苦戦していた過去があります。(1970年頃に深井戸を掘り解決)

時代は巡って、現在はサントリーがオーナーになっています。

 

 

味わいもそんな土地柄を反映してか、草系・花系ともいえるような、広い草原のようなイメージ。

素朴さと小さな華やかさが同居するモルトです。

 

 

 

 

ロッホローモンド インチマリン 18年

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ラベル情報:

INCHMURRIN

LOCHLOMOND WHISKIES

AGED 18 YEARS

46%

 

香り:トロピカルフルーツ、ドライマンゴー、アプリコット。ハーブ。くすんだ紙っぽさ、腐葉土も。

味わい:ゆるくフルーティ、パッションフルーツ、ドライマンゴー、生姜、薄いフルーツジュースのイメージ。僅かに乳酸菌、スパイスがあり、ボール紙、枯れ葉。長く漂うフルーツ感。

飲みやすい、腰が弱いとも。

好み:★6 69

 

 

雑感:ロッホローモンド蒸留所のシングルモルト・インチマリン。

ロッホローモンド蒸留所では、その名を冠したロッホローモンドをはじめ、グレンダグラス、インチファッド等いくつかのシングルモルトブランドを販売しています。

その中のひとつがインチマリンです。

 

他のシングルモルト、特にピーテッドタイプも飲んでみたいものです。

 

 

 

インチマリンというと紙のイメージを浮かべる方も多いのではないでしょうか

こちらのボトルもトロピカルでありそして紙のニュアンスもあり、そのイメージ通りの味わいだと感じました。

 

そこで前回同様の反省になるのですが、ブラインドで紙のそれを拾えたのかと自問自答しています。

確かに感じてはいるのです。

が、それを探しにいっている気もしていて。。。

 

まさに、『情報を飲んでいる』というやつなのかな。

難しいですね。

 

 

取り留めもなくつらつら綴ってしまいましたが、購入するには上々なボトルと思います。

1万円を切る価格でこのフルーティさを愉しめるのは素晴らしいです。

重たいところもなく飲みやすく。

オススメ。

 

 

ただ少し弱いかな。

飲んでいくと、ハイプルーフものも欲しくなるのも本当なところでした。

 

 

 

 

ベンリネス 20年 1997 シグナトリー

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ラベル情報:

BENRINNES

Aged: 20 Years

Distilled on: 17.10.1997

Bottled on: 21.02.2018

Matured in: Hogsheads

Cask No's: 9410+9428

43%

SIGNATORY VINTAGE

 

香り:軽いタッチ。柑橘系のフルーツ、オレンジ、洋梨アプリコット。土っぽさ。セメダイン。シナモン、生姜も少々。

味わい:蜂蜜キャンディやシロップ、シナモン、洋梨、ドライオレンジ、ファイバーパーナップル、生姜の辛み。フローラル、青草やスパイスも。軽いながらオイリーな印象。

好み:★6 66

 

 

雑感:軽くて美味しいモルト

原酒の一部を3回蒸留する(2.5回蒸留とも表現される?)ベンリネス。

ローランドモルトに近いような、軽くて華やかな味わいが特徴です。

 

このボトルもまさにそれ。

今現在の自分は重めが好みなのですが、その上でも美味しいと感じるモルトです。

こちらの傾向が好みの方ならもっと高評価になるかと。

 

 

 

ところでテイスティングについて正直な話を。

一瞬ですがアルコールが立っているのかと感じました。

度数や年数からおかしいなと思い、意識して追ってみた結果が 生姜の辛み という表現になっています。

生姜のニュアンスは確かに感じるし、自分としては間違いない表現なのですが、

でもこれ、ボトル情報ありきのテイスティングですよね。

 

やはり難しいです。。。

 

 

 

 

追記(22/12/15):
ザ・テイスターを飲んだにあたり、改めてこちらのベンリネスにも向き合いたくなりました。

香り:溶剤、ケミカルな林檎。クローブや生姜、冷たいスパイス。微かなバニラ。メンソール。

味わい:接着剤、パインコア。ぬるっとした甘み(クリーミーな大麦に類するもの)。林檎の皮。グラッシーでワクシー。薄めたメンソール。

好み:★6 67

 

反芻:過去の自分のノートのファイバーパイナップルから、今回はパインコアに変わっているところが自分的には良しです。

理由のひとつは、同じ傾向のものを拾えていること。

もうひとつは、より良い表現を使えていること。(ファイバーパイナップルよりもフルーツ感の弱い印象でパインコアを選びました)

また、前回と同じく生姜を拾えたのもホッとしたところ。

正直な話、アルコールが立っているように受け取れたもの共通です。

 

 

このボトルは、自分のイメージする熟成感とは違っているボトルでした。

(熟成14年のザ・テイスターの方が心地よく感じられるくらい)

 

その理由が

樽がプレーンオークだったか、

加水の働きなのか、

判断が付かない未熟さがもどかしいです。

ただ考え方を変えてみると、ベンリネスの原酒の味わいを感じられたようにも思えます。

 

 

 

おそらくもう二度と味わえないボトル。
心に留めておきます。

 

 

 

 

(よろしければ)